北海道へ移住した理由は入植だけではない

1.いまさら聞けない!?「入植」とは?

日常的に使う言葉のなかには、改めて問われると答えに窮するものもでてきます。「入植」もその一つではないでしょうか。定年などを機に「移住」する人がいますが、住まいを移すだけでは入植にはなりません。入植という言葉には「開拓などのために移り住む」との意味があるのです。

 

2.北海道への移住!その背景には

北海道にはアイヌ民族の人々が暮らしていましたが、12世紀ごろから日本各地より移り住む人が増えていきます。その後、移住者の増加にともない、移住者が暮らす地域が拡大していった経緯があります。その背景として、ロシアの接近にともなう警備の必要性も見逃せません。また、農業開拓事業や函館開港など、人口増加につながる条件が整ったことも挙げられます。さらに、出稼ぎ漁民の定住化、屯田兵(兵農両方を行う)の導入など、さまざまな背景がありました。北海道への移住者は入植者だけではないことを把握しておきましょう。

 

3.北海道は日本の縮図

北海道への移住者の出身地は日本全国に及びます。また、集団入植するところも多く、入植者で集落を結成する際には、入植者の出身地名が使われることもありました。さらに、出身地の郷土料理とアイヌ民族の人々の料理、両者の融合による食文化も発展しています。このような理由から、北海道は日本の縮図であり、日本の食文化の縮図ともいえるかもしれません。

 

4.移住入植に関する興味深い情報

北海道の本格的な開拓は明治時代に入ってからです。士族や屯田兵、離農者などの移住入植、さらに、新天地を求めて移住希望者が増えた経緯もあります。年代別にみた移住者の出身地のトップは、明治30年代は北陸地方、明治40年代以降は東北地方でした。参考までに、1882年(明治15年)から1935年(昭和10年)までの出身府県ベスト10は次の通りです。

「1.青森県」「2.秋田県」「3.新潟県」「4.宮城県」「5.富山県」「6.石川県」「7.岩手県」「8.山形県」「9.福島県」「10.福井県」

このデータが示すように、北海道への移住入植者には東北地方や北陸地方出身者が多かったといえるでしょう。