現在でも天然繁殖が盛んなマス類「カワマス」

もともとは北米東部原産のマス類

カワマスは、日本固有のマス類ではありません。もともとは北米の東部原産のマス類で、日本へは1902年に食用を目的として輸入された外来種です。日本へ輸入された際には、日光湯ノ湖に放流され、現在でも湯ノ湖を始め、周辺の湯川や上高地明神池、摩周湖などで天然繁殖をしています。

カワマスは、湧水が豊富な場所を好むという特徴があります。日本で初めて放流されたのは湯ノ湖ですが、それ以降には各地の様々な場所に放流が行われました。しかし、カワマスが定着したのは湧水が豊富なエリア、そして中部地方よりも北部に限定されています。つまり、他のマス類と比べて、カワマスは新鮮な水源と冷たい生息環境を好むという特徴があると言えます。

繁殖力が強いカワマス

カワマスの大きな特徴の一つに、繁殖力がとても強いという点が挙げられます。魚は一般的に同種の魚と交雑しますが、カワマスは同じマス類でも魚種が異なるアメマスやイワナなどとも交雑します。交雑した魚から生まれる魚は雑種魚となりますが、イワナが多い河川や渓流にカワマスを放流すると、途端にその場所が雑種魚ばかりになってしまう傾向があります。

雑種魚が増えることにより、イワナやアメマスなどの魚種が減少傾向にあります。そのため、遺伝子錯乱を引き起こすリスクがあるとして、現在ではカワマスは生態系被害防止外来種リストに要注意外来生物として指定されています。

海外では釣りで人気の魚

カワマスは、海外では釣りで人気が高い魚です。海外ではブラック・トラウトという呼び名で愛されていて、食用としても美味しいため、渓流釣りを楽しむ人たちから人気があります。

ちなみにカワマスは、成熟したものは体長50cm程度となります。他のマス類と比べて、決して大きいわけでもなければ小さいわけでもなく、平均的なサイズと言えます。釣りやすいという点もまた、カワマスが釣りのターゲットとして人気の理由なのかもしれません。