マス類はエサに何を食べているの?

小魚から配合飼料へ

日本では、ほとんどすべての都道府県で養殖が活発に行われているマス類ですが、日本で最初に養殖が始まったのは明治時代までさかのぼります。日本で最初に養殖されたマス類はニジマスで、当時与えていたエサは、蚕の蛹とか、家畜として飼っていた動物の内臓などでした。しかし、こうしたエサは、鮮度に問題がある他、栄養面でも問題が多かったため、少しずつエサの中にドライペレットと呼ばれる人工的な栄養成分が加えられるようになったのです。ドライペレットはDPとも呼ばれていて、魚粉にミネラルやビタミンを混ぜて固めたものです。現在のマス類の養殖場においては、ドライペレットをエサとして使う所が大半です。

ドライペレットをエサとして与えることは、魚にとってたくさんのメリットがあります。例えば、高い栄養価を計算して与えられるので、魚の健康管理ができます。また鮮度を気にする必要がなく、悪くなったエサを食べて魚が病気になってしまうリスクも最小限に抑えることができます。与えるエサの量も管理しやすくなるため、マス類の成長具合に応じて適切な量を与えられます。

エサが変われば魚の味が変わります

マス類に限らず、魚は全般的に、何をエサとして食べるかによって、私達人間が調理して食した時の味が、大きく変わります。例えばマス類は白身魚で、もともとはアッサリとした味をしています。しかし養殖場でえびなどの魚介類を多く与えていると、マス類の身がサケと同じようなオレンジ色となり、アスタキサンチンを多く含むマスを作り出すことが可能です。

マス類の養殖場では、それぞれエサを工夫することで、魚が持つ味を美味しくするための開発や研究を行っています。例えば、エサの中に抗酸化物質を添加することによって、切り身として輸送している道中における酸化を最小限に抑えることができます。抗酸化物質として使われるものには、ビタミンCとかビタミンE、またポリフェノールなどを使います。

抗酸化物質は消費者の皆様にもメリットがあります。魚の酸化と血合いの退色を防げるため、スーパーなどに並ぶ魚を見ても、エサに抗酸化物質を混ぜて育てた魚の方が、より新鮮でおいしそうに見えるのです。