ますとサケの分類方法は国によって異なります

ますとサケには境界がない

ますとサケは、見た目だけではなくDNAも非常に近いという共通点があります。そのため、サケとますとの境界線ははっきりしておらず、国によって区分方法が異なっています。海外の別の国ではサケに区分される魚種が、日本ではますに区分されるということは珍しくありません。

例えば、マスノスケという魚は、日本国内では「ます」に分類される魚です。しかし欧米では、キングサーモンというサケの一種として分類されています。ちなみに欧米でのサケとますの線引きは、海水魚か淡水魚かで分類しています。しかし日本国内の分類法では、海水で暮らす種類でもますに分類されるものはたくさんいます。

日本でも分類が難しい魚

日本国内でも、欧米のように海水産はサケ、淡水産はます、と分類していた時期がありました。また、DNAがほぼ同じという点から、サイズが大きなものはサケとし、小さなものをますと分類していたこともあります。現在では、魚種による分類方法が確立されていますが、ますにはたくさんの種類があり、生息形態がそれぞれ異なるため、現在でも明確な線引きという点で簡単ではありません。

ますの中でも知名度が高い「にじます」は、特に境界線の区分が難しい魚だと言われています。にじます(英語名ではRainbow Trout)に区分される魚種は世界中で11属約66種類があり、これらが生息域や特徴によって、いくつかの属として分類されています。

ニジマスの区分が難しい理由は、この魚のライフスタイルが理由です。例えば「サケ」は、淡水である河川で生まれ、その後、海へと下降します。そして、その後海から河川へ戻って産卵すると、すぐに死んでしまいます。ますは、河川で生まれて海へ下降するという点では共通していますが、産卵した後も長く生きることができます。この点で、サケとは大きく異なります。産卵後も長く生きるという点では、イワナ属やイトウ属、サルモ属と共通しているものの、これらは淡水魚なので、海へは下降しません。

ますとサケの違いや区分に関する歴史を理解すると、食卓に並ぶ魚を食べる時にも、感慨深いものを感じられるのではないでしょうか。