アウトドア施設や渓流近くにある料理屋さん、釣り堀で食べられるマスというと、大きさが20cm前後のニジマスやイワナが代表的でしょう。このサイズのマスは、ほぼ白身です。一方で、回転寿司屋さんで人気のネタのサーモントラウトはニジマスです。しかし、身の色は赤みがかっています。では、ニジマスは白身魚なのか?それとも赤身魚か?どうして、個体によって身の色が違うのか?と疑問が湧いてくるでしょう。20cm前後の塩焼き等で食べる個体で、食べてみたら身が赤かった、という経験をしたことがある人は少ないでしょう。そして、寿司ネタにできるような大きさのマスで切ってみたら白身だった、という声もあまり聞かれません。ということは、小さなニジマスが白身で、成長して大きくなると身が赤くなるのでしょうか。実は、ニジマスの体長の大小と身が白いか赤いかに直接の関係はありません。
身が赤くなる理由は食べ物にあった
どうして身が赤いニジマスが存在するのかというと、身が赤くなる成分を含んだエサを食べているからです。ニジマスの身を赤くしているのは、カロチノイド系のアスタキサンチンという物質です。アスタキサンチンは人工的な薬品のようなものではなく、エビやカニといった自然界に存在する甲殻類に含まれています。それで、甲殻類を捕食するようになったニジマスはアスタキサンチンの働きによって筋肉組織が赤く染められ、サーモンピンク色の身になるのです。特に養殖されているマスはこのアスタキサンチンを含んだエサが与えられていることが多いので、長年養殖されている個体ほど身が赤い傾向になります。ただし、アスタキサンチンの作用によって身が赤くなっているマスも、分類上は赤身魚ではなく、白身魚になります。
アスタキサンチンは美容に効果を期待できる
アスタキサンチンは抗酸化力が強い成分で、老化の原因となる活性酸素を抑制する作用があると言われています。しかしながら、アスタキサンチンは熱に弱く、加熱して料理すると成分作用が失われています。この成分作用を期待してマスを食べるなら、生食が良いでしょう。