「ます」はサーモンピンクの色をした身でとてもおいしい魚です。ただ、その見た目などから「さけ」と混同している人も多く、ますとさけの違いを聞かれても、その違いを答えられる人はあまり多くないのが実態です。ますは学術的にはサケ目サケ科となっており、これも混同させてしまう要因の一つとなっています。
ますとは
そもそも、単純に「ます」という魚はいません。ますとは、名前に「ます」がついた魚や、シロザケ、ベニザケ、キングサーモンなどのさけ類を除いた魚の総称となっています。漢字では「鱒」や「?」などで表記され、代表的なますとしてはイワナやヤマメ、ニジマス、ブラウントラウトなどがあります。
英語ではさけのことをサーモン(salmon)と呼び、ますのことをトラウト(trout)と呼びます。
実は明確な区分がない
ますには、「降海型」と「陸封型」の二通りがあります。「降海型」とは、川で生まれた後に海へ出て、海を回遊しながら数年を過ごして成長したのち、産卵するために川へ戻ってくるタイプを指します。「陸封型」とは、川で生まれた後生涯を川や湖などの淡水で成長するタイプを指します。
かつては、陸封型のサケ科の魚を「ます」、降海型のサケ科の魚を「さけ」と単純な分け方で呼んでいたのですが、研究が進むにつれ、それだけでは分類できなくなっていきました。例えば、サクラマスという名前のますがいるのですが、これは海へ出ていくれっきとした「降海型」です。しかしながら、サクラマスの中には一生を淡水で過ごすものもおり、その場合は「ヤマメ」と呼ばれます。
今でもますとさけは混乱を招いている
このように、ますとさけの分類は非常に複雑で明確でないのが実態です。学者の間でも意見が分かれることがしばしばあり、種類の表記としては11属約66種と、「約」がついているのもまだ明確に定まっていないことを示しています。
とは言え、ますもさけもサケ目サケ科であり、独特のおいしさに多くの人が魅了されています。