昭和初期に輸入されたマス
マス類の中には、日本固有種もありますが、多くは海外から明示時代以降に食用を目的として輸入されたものです。ブラウントラウトもその一種で、昭和初期に中禅寺湖へ放流されました。それをきっかけに現在では、本栖湖や芦ノ湖など、近隣の湖や渓流に生息しています。
ブラウントラウトは、世界的に有名な音楽家であるシューベルトが作った歌曲「鱒」のモデルにもなった魚と言われています。ブラウントラウトはもともと北ヨーロッパを原産とする外来種なので、シューベルトが暮らしていた国がドイツという点から考えると、モデルとなったと言っても不思議ではないでしょう。ちなみに、この歌曲「鱒」がどのような曲かというと、小川を力強く泳ぐ魚を、岸辺でくつろぎながら眺める、と言ったストーリーの曲です。
秋になると脂がのって美味
ブラウントラウトは、体の大きさは20cm~50cmぐらいが多いのですが、成長すると体長が1m超になる個体がたくさんいます。そのため、釣り上げる際には、餌釣りよりも、ルアーやフライを使うのが一般的です。ちなみに、北海道においては、トローリングでブラウントラウトを釣ることもできます。
体が大きく成長するブラウントラウトは、肉食性の魚です。海藻などを食べるわけではなく、水中の貝や昆虫、甲殻類を食べています。体が大きくすると、魚を捕獲して食べる傾向もあります。
ブラウントラウトは、寄生虫のリスクが高いため、鮮度が良い状態でも、生食でいただくことはおすすめしません。調理の際には、ムニエルやフライ、塩焼きなど、必ず加熱調理してください。養殖所なら年間を通して出荷していますが、秋になると産卵期を迎えて脂が乗るため、ブラウントラウトのおいしさも一層アップします。
ただし、繁殖期は生息環境によって異なります。天然のブラウントラウトは、普段は海を回遊していて、繁殖期を過ぎて産卵期になると淡水に帰ってくるという特徴があります。