ほぼすべての都道府県で養殖
マス類は、流れが穏やかな環境を好むという性質があります。そのため、養殖場にとっては養殖しやすい魚種です。また、味がタンパクでアッサリしていますし、毒性が少なくて美味しいので、食用としてのニーズが高い魚としても人気があります。そのため、日本国内においては、ほぼすべての都道府県でマス類の養殖がおこなわれています。養殖なら水温をある程度調整できるため、温かい九州や沖縄などでも、養殖を行うことが可能です。
天然vs養殖
マス類は、天然のものなら山の渓流などに足を伸ばせば手に入れることができます。渓流で釣っても良いですし、キャンプ場や管理釣り堀などもたくさんあります。こうした自然の環境では、天然のマス類に加え、放流されたものも多く生息しています。
スーパーなどに多く流通しているマス類は、養殖のものが多いでしょう。養殖というと天然のものよりも質が劣るとイメージする人がいるかもしれません。しかし近年においては、天然よりも養殖の方が、良質のマス類を生産できることで定評があります。その理由は、マス類が暮らす水質は、自然の中では人工的に管理されているわけではなく、水質汚染などの影響を受けやすいからです。しかし養殖なら、水質管理やエサの品質までを細かく管理できるため、良質で美味しいマス類を出荷することが可能です。
養殖のマス類にはこんな魚がいます
養殖されているマス類には、ニジマスやあまご、ヤマメやイワナ、プラウントラウトやカワマスなど、たくさんの種類がいます。それぞれ、由来は異なり、日本古来種もいれば食用に持ち込まれた外来種もいます。マス類は、どれも見た目はとてもよく似ています。しかしよく見ると、魚種によって平均的なサイズが違う他、パーマークや色合いなども異なります。また、養殖の場合には、用途別にサイズを分けて出荷することもできます。
なお、現在ではマス類の品種改良や研究がすすめられています。エサを工夫したり生育環境を変化させることにより、魚の体を大きくしたり、身の色をサケの様にオレンジ色にするなど、食用としての目的に応じて多種多様な研究が行われています。